中路融人×気象学ー心象風景ー
「自然と一体化して写生をしていた」と言われる日本画家の中路融人は、1回の取材で何時間にもわたり風景を観察・写生していました。霧など空気中にただよっている水の質感の表現は高い評価を得ています。

時には微細な氷の結晶や水滴の影響で起こる光環(コロナ)や暈(ハロ)といった光学現象まで捉えており、気象学の点からも非常に興味深い作品があります。
中路の作品に描かれた気象現象は、科学の視点から見ると説明が難しい構図の作品もありますが、それは時間軸が凝縮されていたり、高低差の異なる地点から見た風景が一体化しているためです。
それらの作品は、中路がありのままをうつす写実性を大切にしながらも、風景から受けた印象を下敷きにし、時にはそこにあるものを描かず、時にはそこにないものを描き足すという選択がなされています。その根底には、自然に対面した時に自信が感じた感覚を、他者と共有したいという思いがありました。
写生による対話によって自然と心情をかよわせ、自身の心象を絵にしてきた中路。そんな中路の感性と技術とによって表現された「心象風景」をお楽しみください。

中路融人×気象学 ―心象風景―
期間 令和7年3月15日(土)~5月25日(日)
時間 午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)
入館料 大人300円 小中学生150円
期間中の休館日 月曜日(5/5は開館)、4/30、5/7、5/8、5/9、5/13